ギリシャ日本センター
私たちギリシャ日本センターに長野県の長野南高校の宮尾修子先生からメールが送られて来たのは6月19日のことでした。
「北京オリンピックの開催される今年夏、高校の子供たちが文化祭でオリンピックに関する研究発表を行うことになった。私の指導しているクラスでは、オリンピックの生まれた国・ギリシャについて研究発表することになったのです。」
4年に一度のこの機会に、生徒さん達がオリンピックについて、ギリシャについて、直接同世代のギリシャ人へインタビューすることによって学びたいと研究に意欲を持っていることがこのメールからから伝わってきました。先生も、生徒の皆さんの「本やインターネットから調べるだけでなく、ぜひ直接ギリシャ人にインタビューしたい」という希望をかなえるべくご苦労されたようでしたが、日本に住むギリシャ人がそれほど多くなく、その大部分が東京に住まう中では困難なことであったことでしょう。

宮尾修子先生
「ギリシャ語で、ギリシャ人から、生の声を聞きたい」…各方面に問い合わせし、文化祭を7月14日に控え既に1か月を切った時点でやっとネットで私たちギリシャ日本センターを見つけ、もしかしたら、とメールをくださった先生の思いに、また生徒の皆さんの熱意に応えるため、今回のプログラムが始まりました。
まず、問題はインタビューをどのような形で行うか、ということでした。十分な時間があれば、直接ギリシャとオンライン・チャット等の方法で行うことも考えられましたが、それには双方にギリシャ語・日本語通訳が必要であり、また時差も考えなければなりません。そこで、まずは生徒さんからインタビューの質問を提出していただき、これをギリシャ語へ翻訳後アテネの学生へインタビューを行い、日本語訳とともにビデオを生徒さん達にお渡しする計画を提案しました。あわせて郵送にかかる1週間ほどの時間を省き、生徒さん達の発表資料作成の時間をより多く確保するため、ビデオは私たちセンターのサーバーから直接ダウンロードしていただく形をとることにしました。
そしてオリンピックについて、ギリシャについて研究する当の生徒さんたちのために、また来場くださる方々のため、ギリシャ日本センターからはアテネの遺跡と歴史を開設した書籍、ギリシャ国旗、そしてギリシャの日常を映したポストカードなどを贈呈いたしました。
ここで問題となったのはインタビューを受けてくださるギリシャ人学生の確保でした。ギリシャでは、7月から9月まで学校は夏季休暇に入り、みなそれぞれの故郷へ、またはバカンス先へと去ってしまいます。生徒さんが希望されるように出来るだけ多くのギリシャ人から生の声をインタビューするにはどうしたらいいか。このインタビューを、単なる外国人高校生からの質問にギリシャ人が回答するだけのものでなく、お互いが理解しあい、交流という次のステップにつなげてゆくにはどうすればいいか。私たちが考えたのは、インタビューを2部に分け、一方をアテネで行われている書道教室の生徒のギリシャ人から、もう一方をアテネ大学に通い日本語を学ぶ学生からインタビューを行うことでした。
さて、一方の書道教室では、インタビューは終始和やかな雰囲気で行われました。日本に興味を持ち、日本語を学ぶ参加者のみなさんにギリシャ語と日本語で自己紹介をしていただくかたちで進められたインタビューは、長野南高校の生徒の皆さんにとって大きな驚きであったようです。自分たちとまったく異なった人間―髪の色、瞳の色、言語・習慣の違う―が、それぞれ日本人なら子供の頃学校で幾度となく授業を通じ手に取った毛筆や墨汁、硯を使い書道を行っている姿を見た時、「いつか秋葉原に行きたい」と話した時、何を思ったのでしょうか?生徒の皆さんは、見知らぬ遠い国で、思っているより多くの人が日本に興味を持ち学んでいるということを実感し、素直に驚いていたのです。

ギリシャ日本協会での書道教室にて、日本語教師・鈴木洋子先生による長野の生徒たちのためのインタビュー模様
また、もう一方のアテネ大学で学ぶ学生であるバシリキさんへのインタビューも、生徒さん達にとって書道教室でのインタビュー同様大きな驚きとなりました。
彼女には、生徒さんから寄せられた質問―毎日ギリシャの学生がどんなふうに過ごしているか、日本について何を知っているか、アテネはどんな町か、オリンピックについてギリシャ人としてどう思うか、ギリシャ料理はどんなものか、等々―について、流ちょうな日本語も交え一問一問とても丁寧に答えていただきました。
長野南の生徒の皆さんにとって、このようにして本やネットからだけでは知ることのできない生の声を聞けたことは、オリンピックをきっかけにしてギリシャそのものへの興味をより強くする結果となったようです。その証拠に生徒の皆さんからの手紙には、「もっとギリシャについて知りたい」「ギリシャに行ってみたい」との言葉とともに、「今度はギリシャの皆さんに日本へ、長野へ来てもらいたい」と書かれていたのですから。
文化祭はこうして無事終わり、夏休み前の生徒の皆さんと先生からたくさんの写真と手書きのお手紙を送っていただきました。そこには、おそらくはじめて書いたのであろうギリシャ文字の文章やオリンピックに関する研究発表、そしてインタビューのビデオが映し出されていました。いま、生徒の皆さんにとってギリシャはもう遠く見知らぬ国のひとつでなく、自分たちと同じように夢を持ち前に進む人の住む国であり、また日本を愛する人の多く住む国となったのです。
これを始まりとして、長野南高校とギリシャとの関係がより深まることを願ってやみません。また、私たちギリシャ日本センターにとっても、この意味ある交流に貢献できたことは大きな喜びであり、これ以降も今回のような交流を支援してゆくことができるよう努力してゆきたいと思っています。
ギリシャ日本センター |
長野南高等学校―宮尾修子先生からの手紙
長野南高校一学年は5クラスあります。文化祭では、一年生は毎年研究発表を一つのテーマについてやるのですが今年は北京オリンピックがあるということで、それぞれの担任の担当教科に関する発表をするということになりました。
体育の担任のクラスはオリンピックとスポーツについて、社会化の担任のクラスはオリンピックと経済などです。
さてわがクラスは、私が英語を 教えているので、オリンピックと参加国の言語ということになりました。
いくつかのグループに分かれて、それぞれに小テーマをきめて調べ始めました。オリンピックに参加する国を全部調べてその国の言葉で挨拶を調べだしたり、北京で開催されるので、中国語でオリンピックを紹介する文を調べたり、その中の一つのグループが長野に住んでいるギリシャ人にインタビューをしようということになりました。
長野市なのでわたしも何人かは仕事で滞在しているのではないかと思いました。生徒が、放課後学年の職員室でまず県庁に電話をして手がかりを調べ始めました。しかし、県庁では分からないということで長野県の経営者協会を紹介してくれました。そこに聞くと、長野県には居ないといわれました。がっかりした生徒達は、東京のギリシャ大使館に長野県には本当に滞在していないのかききました。やはりいないといわれました。生徒ががっかりする中で、私が単独でインターネットを調べ始めました。
そしてやっともしかしたら協力していただけるのではないかと初めての経験ですが問い合わせをしましたら、OKのメールをいただきました。このときの喜びはおおきく、職員室でほかの先生方に興奮して報告しました。生徒もビックリして感動しました。

バシリキさんとのインタビュー上映を見る長野南高等学校の生徒さんたち
英語の教科書にはしばしばインターネット時代の良い面、悪い面などのトピックが用いられますが、今回のことで実際にギリシャからのメールは教科書だけの世界が現実になってこんなことが実際に実現するのだと感じることが出来たように思います。私自身が本当にこんなことが実現するとはと驚きありがたく思いました。
それからは、メールでセンターの皆様が本当にお忙しい中をインタビューしてくれそしてそれをギリシャ語で表していただき更に日本語をつけてもらいました。また、詳しいギリシャ語の文法の説明も加えていただきました。何回もメールのやり取りをしDVDや資料の本や絵葉書、しおりをおくっていただきました。飾り付けのときはいただいたギリシャの国旗がすばらしい雰囲気を出してくれました。
文化祭中はDVDをみたお客さんたちはギリシャの生徒さんたちが長野南高校の生徒の質問に答えてくれているので感動していました。センターのスタッフの皆様方、生徒の皆様方、そして永田さんには心より感謝申し上げます。どうぞよろしくお伝えください。これからもすばらしいギリシャとのつながりがあればと思います。
宮尾修子
長野南高等学校教諭



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